令和7年度施政方針

八丈町長 山下奉也
令和8年3月2日 第一回八丈町議会定例会

 令和8年第一回八丈町議会定例会の開催にあたり、私の町政に関する所信の一端と施策の概要を申し上げ、議員各位ならびに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 昨年、10月に発生した台風第22号、第23号は記録的な強風と大雨をもたらしました。台風第22号では最大瞬間風速54.7m、24時間降水量356.5mmを記録し、大きな土砂災害が発生するなど、当町は甚大な被害を受けました。被災されたすべての皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。 また、災害による応急対応から本日に至るまでご尽力いただきました関係機関をはじめ、ご協力を頂きましたボランティアの皆さま、義援金など温かいご支援、励ましのお言葉を頂きました全国の皆さまに心から感謝申し上げます。 私達行政も、これまでに経験したことのない災害対応に奮闘し、水源などの土砂災害による長期的な断水、倒木や土砂流出撤去による道路交通の確保、家屋などの被害調査、災害廃棄物集積場の確保及び受け入れ、大量の災害救援物資の受け入れ及び配布、各種証明の発行や生活支援窓口の設置、受付など、通常業務を最小限とし、多岐に渡る災害業務に対応してまいりました。 災害発生から5ケ月が経とうとしておりますが、未だに島内各所で台風の爪痕が残されております。復旧・復興には長い時間がかかってしまいますが、被災された皆さまのお気持ちに寄り添いながら、生活再建支援を効果的に進めてまいります。 また、今回の災害を振り返り、今後に繋げていくことが非常に重要となります。 今回の台風による被害状況の集約、今後の災害への意識啓発活動、計画の見直しなど、台風をはじめ、土砂災害、地震、火山など、あらゆる災害発生を想定し、減災に取り組んでいく必要があります。 そのため、令和8年度より新たに防災対策課を設置し、災害復興計画に基づく進捗管理、地域防災計画の見直し、減災のための「自助」「共助」「公助」への啓発活動を推進するほか、新たな防災備蓄拠点として防災倉庫の建設に取り組んでまいります。 東京都とも協力し、次代を見据えた災害に強いまちづくりに努めてまいりますので、皆さまのご支援、ご協力を引き続きよろしくお願いいたします。 令和8年度施政方針につきましては、現状総括も含め災害による復旧・復興事業、災害による今後の方針、政策的項目について申し上げます。なお、令和7年10月台風第22号・第23号については台風と略称させていただきます。

主要施策

災害関連事業
八丈島の海・山・暮らし館

 八丈島の海・山・暮らし館は昨年度まで大規模な施設改修を行い、島の魅力を探求・発信する新たな施設として運用を開始したところでしたが、台風により、末吉地域に大規模な土砂災害が発生し、八丈島の海・山・暮らし館にまで大量の土砂が流れ込みました。 現在は施設周辺の土砂などの撤去が行われ、館内の土砂撤去がはじまりましたが、今年の7月までかかると見込まれています。  館内には末吉小学校閉校から残された、生徒たちの作品などもたくさんあり、現在、残っているものについては末吉屋内運動場へ運び出しを行い、保管している状況です。 八丈島の海・山・暮らし館の今後については、末吉地域住民の意見も聴きながら、検討を進めていきます。

災害廃棄物等処理

 台風災害により発生した推計約3万トンのがれきや倒木類、12万トンの土砂などが末吉屋外運動場、南原スポーツ公園、各地域の仮置き場に集積されています。八丈町災害廃棄物等処理実行計画に基づく島外搬出処理事業や公費解体事業などを実施するため、約57億円を計上し、令和8年12月完了を目標に取り組んでいきます。

災害支援窓口

 昨年度から引き続き、国や都の被災者生活再建支援制度を活用し、被災者の皆さまの生活再建に向け、家屋修繕費用や引っ越し費用などの援助を継続して行います。 また義援金においても、早急に被災者へ配分できるよう努めます。

建設・管財

 災害では道路の被害箇所が多岐にわたることから、東京都からの派遣職員を配置し、まずは被災した町道の復旧を最優先に執行します。台風による町道の災害復旧工事として3か年、令和9年度末までに工事完了を目途としている被災箇所は22カ所あり、令和8年度においては、11カ所を予定しており、令和7年度からの債務負担を含め2億9千万円を計上しています。 道路改良事業については、災害時の重要な役割を担う「中道伊郷名線」及び「樫立中之郷線」の継続事業を着実に推進いたします。また、町道の各路線において適時適切な維持管理を行い、地域住民の皆様の利便性と安全性の向上に努めます。 町営住宅及び住宅支援事業については、発災直後から住宅ストックの確保に努め、仮設住宅を含め40世帯に住まいを提供することができました。引き続き東京都の協力を得ながら被災者の住まいの支援に取り組むと同時に、町営住宅事業については、安全で良質な居住環境の提供と、住宅セーフティネットの適切な管理運営に努めます。 庁舎管理事業については、施設の適切な点検と計画的な修繕を継続し、来庁される皆さまや職員にとって安心・安全な環境整備に引き続き取り組みます。 財産管理事業においては、厳しい財政状況を鑑み、総合的な管理コストの低減を推進するとともに、未利用財産の活用や処分について、全庁横断的な検討を継続していきます。

農業関連

 台風により被災した農業者の施設の復旧及び再建のための整備などを東京都とともに継続して支援します。 また、被害にあった農業基盤施設である農道・排水路などの整備、産業関連施設として研修センター、えこ・あぐりまーと展示室などの早期復旧を実施します。  農業基盤整備事業では、三根河尻水路の改修工事で7千2百万円、農地防災事業では、中之郷銚子の口ため池改修工事で、2億9千9百万円を計上し、継続して事業を行います。
 『八丈町農業担い手育成研修センター』事業では、在籍中の5名について、研修期間を1年間延長して引き続き研修を行っていきます。
 そのほか、管理棟建設に2億円を計上し、研修の充実に繋げます。
 畜産DX事業に6千6百万を計上し、農道(作業道)の造成工事、分娩検知システムの設計構築、分娩舎(牛舎)建築確認業務を実施します。

水産・商工振興

 水産振興では、台風で被災した八丈島漁業協同組合の施設復旧を支援するとともに漁家の海難事故の防止策となる漁船搭載GPS機能強化補助事業を計上し、漁業経営の安全・安定化を図る支援を継続していきます。
 後継者対策では、就業体験事業による新規就業者の募集のほか生産者への支援を通じて、新規就業者の育成・確保に引き続き努めます。
 商工振興については、人口が減少している中で実施可能な方法で行う夏まつりなど各種事業に対して実情に合った形で支援します。また、昨年台風被災した事業者が金融機関にて融資を受ける際の利子補給事業を東京都とともに継続して行います。

観光振興

 観光振興では、台風により被災した観光施設などを東京都と協力し整備します。
 絶え間なく変化する旅行需要のニーズに対応できるよう、関係機関と協働し、八丈島公式InstagramなどのSNSによる情報発信と八丈島公式観光アプリを活用していきます。さらに体験型観光アクティビティの充実のため、6百50万円を計上し、旅行消費額の増加を図ります。
 台風の影響により減少した観光客数を回復するため、東京都と連携してクーポン事業に取り組みます。

税務

 台風では、家屋などに甚大な被害が及びました。住家被害認定調査の件数は1,574件、うち生活支援の第一歩となる罹災証明発行は1月末時点で872件ありました。罹災証明発行を迅速に行うため、被災者生活再建システムの活用を進め、東京都などからの応援職員と協力し、被害家屋調査を行いました。8年度は、この経験により得られた知見を活かし、システム活用の習熟と受援体制の強化を進めます。

学校施設の整備

 台風により被災し、取り壊しとなった富士中学校の体育館(屋内運動場)をはじめ、各小中学校の校舎及び体育館(屋内運動場)は、老朽化により全ての施設で不具合が生じています。給食センターも築33年が経過し、衛生管理基準も厳格化される中で、早急な対応が求められているところです。
 安全で、よりよい魅力的な学びの場の提供を目指し、将来を見据えて小中学校の配置や複合施設の検討を行います。
 また、近年の気候変動による災害の激甚化、頻発化を踏まえ、子どもたちの教育環境の改善と、防災機能を強化した学校づくりを迅速に進めます。

水道浄化槽

 水道事業は、台風により水源からの多くの導水管などが被災しました。国、東京都と協力しながら、被災当初から実施している仮復旧工事を早期に完了し、本復旧工事を進めていきます。 令和8年度においては、本復旧工事設計2億4千万円を計上しています。
 浄化槽事業は、自然環境の保全と生活環境の向上のため、合併処理浄化槽の普及率向上の啓発活動を図ります。令和8年度においては浄化槽設置工事費4千8百万円を計上しています。

一般旅客自動車運送事業

 観光誘致活動を継続的に行い、観光貸切の需要に対応しながら、乗合事業、貸切事業ともに安全な運行に努めます。令和8年度においては、乗合事業、貸切事業合わせて9千8百万円の収益を見込んでいます。また、台風の経験から得た教訓を生かし、災害時の輸送対応体制のさらなる整備を進めます。

病院事業

 町立八丈病院が掲げる理念に基づき、医療従事者の確保、常設診療科を中心とした医療レベルの維持に努めます。また、台風による八丈町の被害を踏まえて、災害などの緊急時にも早急に対応できる医療体制を目指します。具体的には、『緊急時の救急医療体制整備』、『島外医療機関との医療DXなどを活用したより強固な連携』、『病院業務継続計画の再構築による災害にも強い病院の環境整備』を推進します。

消防団

 可搬型消防ポンプやエンジンカッター、チェーンソーなど、各種救助資機材の更新を図り災害対応力の一層の充実強化を図るとともに消防団の災害発生時における復旧活動の取り組みを推進します。

消防施設

 設置から11年目を迎える消防救急デジタル無線設備の更新に備え実施設計に1千3百万円を予算計上し、119番通報など受信する消防指令設備や消防救急デジタル無線設備の更新準備を進めます。
 また、災害対応の拠点となる消防本部車庫の建設に引続き取り組み、町民の安心・安全の基盤強化を図ります。

その他政策的事業
移住定住の推進

 「住まい」「仕事」「子育て環境」を軸として各施策をバランスよく進めていくとともに、住宅流動化サイクルの基盤構築、八丈島移住サポーターなど、更なる受け入れ体制を強化するとともに出産祝金を現行の5万円から出産後1年経過後に50万円支給へ増額し、分野横断的な政策による「選ばれる島」から「住み続けたい島」へ転換を図ります。

こども家庭センター

 本年度より、子ども家庭支援センターからこども家庭センターとして名称変更及び条例改定を実施し、子育て応援拠点として、妊娠から子育て期まで保護者に寄り添う支援を総合的・継続的に実施します。

生活福祉

「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用し、物価高により厳しい状況にある低所得者への支援を行います。

保健・母子・健康増進事業

  島外医療機関への通院交通費の一部助成に1千6百万円、がん患者のウィッグ等購入費の一部助成に50万円を計上し、継続して実施します。
 分娩に関する補助として、分娩1回あたり出産前に25万円、出産後に25万円、合計50万円の補助で総額1千万円を計上し妊産婦の経済的負担を軽減します。
 また、出産後の心身の不調や育児不安がある方などの支援として産後ケア事業に5百万円を計上しています。
 引き続き妊娠された方や子どもたちの健康と発育環境を守るべく、切れ目のない支援を継続し、健診や面談などを安定的にできるよう努めます。
 がん検診や健康相談などを引き続き実施し受診率の向上を目指します。

文化財の公開・活用

  昨年10月1日に開館した八丈島歴史民俗資料館では、常設展示だけでなく、テーマを設けた企画展を開催し、これまで以上に見る喜び、知る喜びを提供します。
 また、貴重な資料を展示、公開、情報発信することで郷土愛を育み、八丈町の活性化を図ります。

消防本部事業

 老朽化した高規格救急自動車の更新に2千7百万円、救急救命士の処置に対応した高度救命処置用資機材の更新に1千百万円の予算を計上し、高度化、多様化する救急業務に適切に対応できるよう取り組みます。

おわりに

 令和8年度の予算額は、一般会計148億7千万円、特別会計24億4千万円、企業会計34億7千万円、合計で約207億8千万円となります。
 予算編成要綱により、各担当課へは災害対応を最優先とし、義務的経費及び経常的経費に限定した骨格予算として当初予算を要求させました。
 そのため、新規事業や投資的事業などについては、今後、補正により対応していく予定をしております。
 議員各位ならびに町民の皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、施政方針といたします。 

問い合わせ

〒100-1498 東京都八丈島八丈町大賀郷2551番地2
八丈町 総務課庶務係
電話番号 04996-2-1121