○八丈町文化財保護条例
昭和47年12月20日
条例第16号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項及び東京都文化財保護条例(昭和30年都条例第18号。以下「都条例」という。)の規定による指定を受けたもの以外の文化財で八丈町(以下「町」という。)の区域内にあるもののうち町にとつて貴重な文化的遺産の保存及び活用のため、必要な措置を講じ、もつて町民の郷土に対する認識をたしかめるとともに、文化の向上に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で、「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、典籍、古文書、考古資料、その他の有形物で歴史上または芸術上価値の高いもの
(2) 工芸技術、郷土芸能、その他の無形の文化的所産で、伝統を有し、かつ、技法上価値の高いもの
(3) 生活、生業、風習等の推移を示す有形の民俗資料並びに民政に関する文献および金石文等で資料的価値の高いもの
(4) 歴史上重要な事件または人物の遺跡で特に文化史上価値の高いもの
(5) 生物、無生物及び特異な地質学形態で学術上価値の高いもの
(指定)
第3条 八丈町教育委員会(以下「委員会」という。)は、前条に掲げるもののうち、町の区域内にあるもので重要なものを八丈町文化財(以下「町文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の指定をするには、委員会は、あらかじめ次に掲げる者の同意を得なければならない。
(2) 前条第2号の文化財については、その保存にあたつている者(以下「保持者」という。)
(町文化財の類別)
第4条 町文化財は、次のように類別する。
(1) 町重宝(第2条第1号に掲げるもののうちから指定されたもの)
(2) 町技芸(第2条第2号に掲げるもののうちから指定されたもの)
(3) 町郷土資料(第2条第3号に掲げるもののうちから指定されたもの)
(4) 町史跡(第2条第4号に掲げるもののうちから史跡として指定されたもの)
(5) 町旧跡(第2条第4号に掲げるもののうちから旧跡として指定されたもの)
(6) 町天然記念物(第2条第5号に掲げるもののうちから指定されたもの)
(指定の解除)
第5条 委員会は、次の各号の1に該当するときは、文化財の指定を解除することができる。
(1) 町文化財が、滅失したとき。
(2) 町文化財が、著しくその価値を失つたとき。
(3) 町文化財が、町の区域外に移つたとき。
(4) 町文化財が、法第27条及び第69条または都条例第3条の指定を受けたとき。
(5) 前各号に定めるものの外、委員会が適当と認める理由があるとき。
(文化財専門委員)
第6条 町に、文化財専門委員(以下「専門委員」という。)8名以内を置く。
2 専門委員について必要な事項は、委員会規則で定める。
(告示、通知及び指定書の交付等)
第8条 第3条の指定をしたときは、委員会はその旨を八丈町公告式条例(昭和29年八丈町条例第1号)により告示し、所有者等または保持者(以下「管理者」という。)に通知するとともに指定書を交付しなければならない。
2 第5条の指定を解除したときは、委員会はその旨を告示し、管理者に通知しなければならない。
3 管理者は、前項の通知を受けたときは、30日以内に指定書を委員会に返付しなければならない。
(保存地域の設定)
第9条 委員会は、町重宝、町郷土資料、町史跡または町天然記念物のうち、保存のため必要であると認めたものについては、管理者の同意を得て、地域を定めて一定の行為を制限し、または禁止することができる。
(保存施設)
第10条 委員会は、町重宝の建造物もしくは金石文、町史跡、町旧跡または町天然記念物について管理者の同意を得て、これに必要な保存施設を設置し、管理者に管理させることができる。
(注意義務)
第11条 町文化財の管理者は、当該文化財の管理及び活用について、常に善良な注意を払わなければならない。
(管理責任者)
第12条 町文化財の管理者は、特別の事情があるときは、自己の代りにその町文化財の管理に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
2 町文化財の管理者は、正当の理由があるときは、管理責任者を変更または解任することができる。
3 前2項の規定により管理責任者を選任変更または解任したときは、町文化財の管理者はすみやかにその旨を委員会に届け出なければならない。
4 管理責任者には、前条の規定を準用する。
(権利義務の継承)
第13条 町文化財の管理者に変更があつたときは、新管理者はこの条例並びにこれに基づいて発する委員会規則および委員会の指示又は処分による旧管理者の権利義務を継承する。
(届出事項)
第14条 町文化財の管理者は、次の各号の1に該当する場合は、すみやかに委員会に届け出なければならない。
(1) 町文化財について権限の移動が生じたとき。
(2) 町文化財が滅失し、もしくはき損し、またはこれを亡失若しくは盗みとられたとき。
(3) 町文化財の所在地が変更したとき。
(4) 管理者または管理責任者の氏名、名称または住所が変更したとき。
(5) 町文化財の保存の方法を変更したとき。
(6) 町文化財を修理または復旧しようとするとき。
(7) 町文化財の保存上考慮すべき事態が予知されるとき。
(許可事項)
第15条 町文化財の現状を変更しようとするときは、町文化財の管理者は、あらかじめ委員会の許可を受けなければならない。
(経費の負担)
第16条 町文化財の管理、修理または復旧(以下「管理等」という。)に要する経費は、管理者の負担とする。ただし、管理等に多額の経費を要し、管理者が、その負担にたえない場合その他特別の事情がある場合は、その経費の一部にあてさせるために、町は管理者(町旧跡の所有者等は除く。)に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項ただし書の補助金を交付する場合には、委員会は、その補助の条件として管理者等に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めたときは、指揮監督することができる。
(1) この条例に基づいて、発する委員会規則および委員会の指示に違反したとき。
(2) 補助金交付の条件に違反したとき。
(3) 虚偽の方法により補助金の交付を受けたことが明らかになつたとき。
(有償譲渡の場合の納付金)
第17条 前条第1項ただし書の補助金の交付を受けた町文化財が有償で他人に譲渡したときは、所有者等は当該補助金から、補助による管理等が行なわれた以後管理等のために自己の費した金額を控除して得た金額を町に納付しなければならない。ただし、町文化財を町に譲渡した場合その他特別の事情のある場合は納付すべき金額の全部または一部の納付を免除することができる。
2 前項に規定する当該補助金とは、補助金の額をその町文化財につき、委員会が定める耐用年数で除して得た金額にその耐用年数から管理等を行なつた日から有償譲渡の日までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額をいう。
(公開)
第18条 委員会は、町文化財の管理者に対し6月以内(町技芸にあつては20日以内)の期間を限つて、委員会が行なう公開の用に供するため、その町文化財の提供を勧告することができる。
2 委員会は、町文化財の管理者に対し3月以内(町技芸にあつては10日以内)の期間を限つて、その町文化財の公開を勧告することができる。
4 委員会は、第1項の規定により町文化財が提供されたときは、その職員のうちから管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
5 第1項の規定により、提供したことに基づいて町文化財が滅失し、またはき損したときは、町はその管理者に対し通常生ずべき損害を補償する。ただし、管理者の責に帰すべき理由または天災等により滅失またはき損した場合は、この限りでない。
(報告)
第19条 委員会は、必要があるときは、管理者に対し、町文化財の現状または管理の状況につき報告を求めることができる。
(記録の作成等)
第20条 委員会は、国、都または町が指定した文化財以外の文化財及び生活生業、風習等の推移を示す無形の民俗資料のうち特に必要のあるものを選択して、みずからその記録を作成し、保存しまた適当な者に対しその記録の作成し、保存し、また適当な者に対しその記録を作成または保存をさせることができる。
(罰則)
第21条 町文化財を損壊し、き損しまたは隠匿した者は1万円以下の罰金または科料に処する。
2 第14条の規定に違反した者は、5,000円以下の科料に処する。
(委任)
第22条 この条例の施行について必要な事項は委員会規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(昭和51年条例第6号)
この条例は、公布の日から施行する。